ソニーαで写真と動画を両立する三脚固定法【アルカスイス併用の完成形】

撮影機材

ミラーレス一眼で写真と動画の両方を撮影することは、今や特別なことではありません。特にソニーαシリーズは、高い動画性能と写真画質を1台で実現できる点から、業務用途でも多く使われています。

しかし、撮影現場で感じるストレスは、カメラ本体の性能ではなく、三脚や雲台まわりの運用に集中しがちです。

写真用三脚と動画用ビデオ雲台を併用すると、プレートの付け替えや固定方法の違いが作業効率を下げます。

本ブログ記事では、大掛かりで重いリグを組まず、パーツ点数を増やさず、追加コストを最小限に抑えた「軽量運用の完成形」として、ビデオ雲台用プレートとアルカスイス規格を組み合わせる方法を実例ベースで解説します。

Text/Photo:ちゃんまさ

1.ミラーレス一眼を動画&写真で共用するときの不満

ソニーα1 IIなどのミラーレス一眼は、1台で写真と動画を高い品質で撮影できる点が大きな魅力です。業務用途においても、カメラを分けずに撮影と収録に対応できる柔軟性は強みになります。

一方で、実際の撮影現場では手持ち撮影だけで完結することは少なく、多くの場合で三脚を使用します。この時、三脚の共用に不満をいだくカメラマンは多く存在します。

写真用三脚と動画用ビデオ雲台を併用する時の不満は、「プレートを外す」「ネジを締め直す」「バランスを取り直す」といった一連の作業が積み重なることで、現場のテンポが崩れる点にあります。

この不満の正体は、撮影者の撮影スタイルではなく、「固定方法とプレート規格が異なること」による構造的な問題と言えます。

2.ビデオ雲台用プレートとアルカスイス規格は別規格

動画撮影ではビデオ雲台用プレート、写真撮影ではアルカスイス規格プレートを使用するのが一般的です。ビデオ雲台用プレートとアルカスイス規格は、用途も設計思想も異なる別規格のため、どちらかに統一して運用されることが多くあります。

しかし、ソニーα1 IIなどのミラーレス一眼で動画と写真を併用する場合、この部分で矛盾が生じます。

ビデオ雲台用プレートは、動画撮影時の前後バランス調整を前提とした構造で、長さがあり、脱落防止構造も重視されています。一方、写真用三脚で採用されるアルカスイス規格は、素早い着脱と汎用性が優先されます。

両者はどちらが優れているかではなく、役割が異なります。この違いを無視して無理に統一しようとすると、操作性か安定性のどちらかを犠牲にすることになります。

3.なぜソニーαはレンズと雲台が干渉しやすいのか

ソニーαシリーズは、小型軽量なシステム設計が特徴です。

その代償として、他社製品と比べ、ボディ底面の厚みが薄く、雲台やプレートとのクリアランスが小さくなっています。

そのため、ビデオ雲台用の長尺プレートを直接固定すると、プレート前方がレンズ下部やズームリング付近と干渉しやすくなります。また、ソニーGMレンズのように鏡筒径が大きいレンズでは、この問題がより顕著に現れます。

これはソニーαシリーズ全体に共通する構造的な傾向です。

4.写真と動画を併用したい現場の現実

実際の撮影現場では、動画専用機材だけで完結するケースは多くありません。動画撮影の合間にスチルを撮る、撮影内容に応じて三脚を切り替えるなど、写真と動画を行き来する場面は頻発します。

そのたびにプレートを付け替える運用は、時間的にも精神的にも非効率です。理想は、写真用三脚とビデオ雲台を、最小構成の変更だけで使い分けられることです。

写真と動画を行き来する運用は軽量な構成では非常に効果的ですが、望遠レンズや重量級レンズを常用する場合は、別の考え方が必要になります。望遠レンズを前提としたリグ運用や、重心管理を重視した構成については、別記事で詳しく解説しています。

5.解決すべき課題と対処法

ソニーαシリーズで写真と動画を併用する際の課題は、大きく2つあります。

プレートとレンズの干渉問題

干渉対策として、「ビデオ雲台用の短いプレートを使う」「ケージを装着する」「スペーサーで高さを稼ぐ」といった方法があります。しかし、これらは重量増や剛性低下を招きやすく、軽量運用とは相反します。また、追加パーツが増えるほどコストも上がります。

本ブログ記事では、本格的なリグを組まず、「プレート部分だけの対策」で動画と写真を両立する運用方法を採用します。

ビデオ雲台用プレートとアルカスイスの併用

ビデオ雲台用プレートを土台として使用し、その上にアルカスイス規格のベースを固定します。カメラ側にはアルカスイス規格プレートを常設します。

この構成により

・レンズ干渉を回避
・前後バランス調整を維持
・写真用三脚への即時切り替え

が同時に成立します。

6.軽量運用の完成形としての考え方

ここで紹介するプレート構成は、大掛かりなケージ構成を省いているため、重量増加と費用を最小限に抑えられます。

また、既存のビデオ雲台と写真用三脚をそのまま活かせます。これは、最小コストで最大の運用改善を得る方法とも言えます。

7.パーツ構成と組み立て方

使用するパーツは以下の3点のみです。

・ビデオ雲台用プレート
・アルカスイス規格ベース
・アルカスイス規格プレート

いずれも特殊な製品ではなく手軽に入手できる市販品です。

マンフロット互換クイックリリースプレート

マンフロット互換クイックリリースプレートは、マンフロットやザハトラーなどのビデオ雲台で採用されている規格に対応したプレートです。前後方向に長さ(この製品は120mm)があり、カメラやレンズの重心に合わせたバランス調整がおこなえます。また、脱落防止構造を備えており、動画撮影時の安全性にも配慮されています。

アルカスイス互換クイックリリースクランプ&クイックリリースプレートセット

アルカスイス互換クイックリリースクランプとクイックリリースプレートのセットは、写真用三脚で広く採用されているアルカスイス規格に対応した固定システムです。ワンタッチで着脱できる構造により、撮影準備や機材の切り替えを素早くおこなえます。汎用性が高く、複数の三脚や雲台で共用できる点も特長です。

組み立て方

組み立ては、ビデオ雲台用プレートにアルカスイス規格のクランプ(ベース)を1/4ネジで固定します。

一度組み立てれば、通常は分解する必要はありません。

着脱方法

カメラとビデオ雲台用プレートは、カメラ底面に装着したアルカスイス規格プレートとを介して着脱できます。

カメラにアルカスイス規格プレートを装着する際、90度ズラした横向きで装着します。

注意点

ブログ管理人は、アルカスイス規格のクランプ(ベース)の締め付けツマミが、カメラ後方に向くように90度ズラして装着しています。そうすることで、ビデオ雲台との干渉を抑えています。

アルカスイス規格のクランプ(ベース)の締め付けツマミを横向きに装着すると、ビデオ雲台と干渉しやすくなります。

ソニーα1IIに装着してみた

SONY FE 24-105mm F4 G OSSを装着した状態。マンフロット互換クイックリリースプレート(120mm)とのクリアランスはこのような感じです。工具無しで着脱でき、常設運用が可能です。

ザハトラーのビデオ雲台に装着するとこんな感じです。

写真用三脚の雲台(アルカスイス互換)に装着するとこんな感じです。

8.実運用で得られたメリットと注意点

実運用では、付け替え作業を工具不要でおこなえるため、撮影の流れが途切れなくなります。リグに頼らない最小構成で安定性を確保できる点は、動画撮影において大きなメリットです。

ビデオ三脚とカメラの着脱は、アルカスイスクイックリリースクランプで行うこともできます。ビデオプレートは装着したままなので、カウンターバランスが崩れる心配がありません。

注意点として、アルカスイス規格ベースとプレートは、品質に大きなばらつきがあるのが実情です。極力、工作精度の優れた製品を選ぶことを推奨します。

9.この構成が向いている人

・写真と動画を同一現場で撮影する人
・リグを組まずに運用したい人
・既存機材を活かし、追加コストを抑えたい人

写真と動画を行き来する運用は軽量な構成では非常に効果的ですが、望遠レンズや重量級レンズを常用する場合は、別の考え方が必要になります。望遠レンズを前提としたリグ運用や、重心管理を重視した構成については、別記事で詳しく解説しています。

10.まとめ

ソニーαシリーズで写真と動画を併用する場合、規格の違いと構造的な制約を理解せずに運用すると、不満が蓄積します。本ブログ記事で紹介した構成は、軽量運用の完成形として、かつ最小コストで実現できる現実的な解決策です。

リグを組まなくても、撮影効率と安定性は両立できます。現場のストレスを減らしたい方の参考になれば幸いです。

この記事を書いた人
ちゃんまさ

雑誌編集部勤務を経て、個人制作会社を設立。30年以上にわたり雑誌取材、企業案件、TV番組の撮影・ディレクションに従事。現在はカメラ・レタッチ・動画編集などの実務情報を発信中。
ソニーイメージングプロサポート(SIPS)会員/ニコンプロフェッショナルサービス(NPS)会員。
業務で実際に使用してきた機材をベースに、現場視点で信頼性あるレビューをお届けします。

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