流し撮り&低速シャッターで躍動感を演出する【初心者向け☆ひこ〜き写真の教室10】

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初心者向け

Text/Photo:ちゃんまさ

ひこ〜きを撮影する場合、背景が「空」になることが多く、手ぶれ対策のため高速シャッターを多用する人も多いことでしょう。しかし、空港周辺で撮影すると背景に建物が入ることがあり、高速シャッターで撮影すると動きが止まり「躍動感」が薄れます。このような時、流し撮りやスローシャッターを活用すると躍動感が倍増し、表現方法を広げることができます。

流し撮りにチャレンジしよう!

▲α7R5、FE100-400F4.5-5.6 GM OSS(600mm相当にトリミング)、SS100/1秒、F11、ISO64。Kenko NDフィルター PRO1D プロND8(W)を装着。

流し撮りとは?

流し撮りとは、動体撮影時にシャッタースピードを遅く設定し、背景を意図的に流し「動き」を強調する撮影テクニックのひとつです。背景や手前に邪魔なものがある場合、流し撮りを応用すると気になる部分が適度に流れてくれるので目立たなくすることができます。

シャッタースピードの設定

流し撮りとシャッタースピードの関係は、レンズの焦点距離や被写体の速度により異なります。超望遠レンズは比較的高速シャッターでも背景が流れますが、広角レンズは相当スローにしないと流れた感じが得られません。そのため「何分の1秒が正解」と言い切ることができません。

焦点距離とシャッタースピードの目安

焦点距離 シャッタースピード
600mm 1/250秒以下
200mm 1/125秒以下
50mm 1/60秒以下
28mm 1/30秒以下
シャッタースピードの違いを比較

▲600mm相当の画角、SS1/1000、手ぶれモード3(α7R5)で撮影。ピントが合う確率が高く精細感が際立ちますが「空中浮遊感」が気になります。

600mm相当の画角、SS1/60、手ぶれモード3(α7R5)で撮影。ピントが合う確率は低く細部にブレが生じますが「躍動感」が際立ちます。Kenko NDフィルター PRO1D プロND8(W)を装着。

手ぶれ補正モード

手ぶれ補正は、有効な場合とデメリットが生じる場合があるため、必ずしも「ONにするのが正解」とは断言できません。また、メーカーごとに設定方法や効果が異なります。カメラメーカーを乗り換えた時や新型レンズを購入した時はフィールドテストをおこない「癖」を知ることが重要です。

流し撮りに適した手ぶれ補正とは「縦方向のブレを抑え、横方向は制御しない」というのが一般的です。メーカーごとに違いがありますが「専用モード」に設定します。

カメラメーカーの流し撮り対応モード

カメラメーカー 流し撮りに対応した手ぶれ補正モード
キヤノン IS MODE 2
ソニー OSS MODE 2
ニコン VR NOMAL(流し撮りを自動感知)
手ぶれ補正は誤作動しやすい

飛行機の流し撮りは、横方向に移動するとは限りません。上空を通過する飛行機を撮影する場合、レンズやカメラのセンサーが誤作動し、満足な結果が得られないことがあります。手ぶれ補正の挙動が「怪しい」と思ったら深追いはせず、OFFまたは他のモードを試すことをお勧めします。

▲手ぶれ補正の誤作動により被写体ブレが発生した一例。レンズの仰ぎ角が大きくなるほど誤作動しやすくなります。

ポートレートやモデル撮影など被写体が停止している時に有効なモード(キヤノンやソニーのMODE1)で流し撮りすると、システムが流し撮りを「手ぶれ」として認識し、流れる背景を停止させようとする制御が働き、被写体ブレが生じることがあります。撮影シーンに応じて、必ず手動で切り替えることが重要です。
撮影のコツ

手ぶれ補正を「流し撮りモード」に設定すると、上下方向の手ブレはシステムが抑えてくれるので、横方向の手ブレを抑えることに専念します。飛行機をフレームの中心に収め、水平保持をイメージしながら左右に手ブレしないようにフレーミングを追従させ、ベストタイミングでシャッターボタンを押します。

流し撮りの基本は、真横から撮影するのがもっとも簡単な画角になります。斜め方向や上下方向の動きは難関なので、まずは真横からの撮影をマスターしてから次にステップアップしましょう。

流し撮りの難易度

難易度 低 真横からの流し撮り
難易度 中 斜め前からの流し撮り
難易度 高 斜め方向に遠ざかる流し撮り
連写しても上達しない!

連写モードは、一見有効に思われがちですが、多用してもベストショットが撮影できるとは限りません。頼りすぎると「撮影したいポイントの写真がブレていた」と後悔することになります。

流し撮りのコツは、カメラの手ぶれ補正の癖を掴み、練習することが成功への近道です。

昼間の流し撮りにはNDフィルター必須

昼間の流し撮りは、シャッタースピードが遅くなるため露出オーバーになりがちです。絞り値を大きくすれば光量を抑制できますが「回折現象=絞りボケ」が発生するため解像度が低下します。

ISO感度を低く設定しても露出オーバーになる時は、レンズに「NDフィルター」を装着して、光の量を減らします。

NDフィルターは、いろいろな濃度の製品が販売されていますが、流し撮り用に最初の1枚を購入するなら「ND8」がお勧めです。濃度を調整できる「可変NDフィルター」もありますが、望遠レンズに装着すると解像度が低下するので避けたいところです。また、海外メーカーの製品は、色被りすることがあるので要注意。管理人は、長年Kenko製NDフィルターを愛用中です。

保護フィルターを装着している場合、取り外してからNDフィルターを装着します。2枚重ねは「解像度低下・逆光耐性の低下・ケラれの発生」の恐れがあるので厳禁です。

◾️SIGMAレンズのフィルター径

レンズ フィルター系
60-600mm F4.5-6.3 DG DN OS | Sports
60-600mm F4.5-6.3 DG OS HSM | Sports
105mm
150-600mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary
150-600mm F5-6.3 DG DN OS | Sports
95mm
70-200mm F2.8 DG OS HSM | Sports 82mm
100-400mm F5-6.3 DG OS HSM | Contemporary
100-400mm F5-6.3 DG DN OS | Contemporary
67mm

Kenko製NDフィルター  オススメ4選

定番人気のPRO1D プロND W(ND4/8/16)
フィルター径:49mm 52mm 55mm 58mm 62mm 67mm 72mm 77mm 82mm
ガラス外周に黒塗り加工を施し、内面反射を抑制。(W)表記は、薄型枠の採用により広角レンズに装着してもケラれずらい製品であることを指します。

色再現に優れたZeta ND(ND4/8)
フィルター径:52mm 55mm 58mm 62mm 67mm 72mm 77mm 82mm
ニュートラル特性に優れた色再現性を重視した高品位減光フィルターです。

超解像を実現したZX ND(ND4/8)
フィルター径:49mm 52mm 55mm 58mm 62mm 67mm 72mm 77mm 82mm
ガラスに負荷を与えないフレーム構造を採用し、超高解像を実現。撥水・撥油コーティングにより汚れにも強い。

大口径レンズ専用のプロフェッショナルN(ND2/4/8/16)
フィルター径:86mm 95mm 105mm
ニュートラル性が高く色再現性に優れた大口径高精度NDフィルター。

低速シャッターはヘリやプロペラ機の撮影に効果的

ヘリやプロペラ機を撮影する場合、高速シャッターを多用すると「ローターやプロペラが停止した状態」で撮影され、違和感が生じます。このような時は、スローシャッターによる撮影が効果的です。

プロペラ機の作例

▲シャッタースピード1/125秒、手ぶれモード2(α7R5)で撮影。プロペラがいい感じで回転し、地上の施設もいい感じで流れて躍動感を演出できました。Kenko NDフィルター PRO1D プロND8(W)を装着。

▲シャッタースピード1/125秒、手ぶれモード2(α7R5)で撮影。静止状態を撮影しましたが、プロペラの回転を自然な感じで表現できました。Kenko NDフィルター PRO1D プロND8(W)を装着。

ヘリコプターの作例

▲シャッタースピード1/30秒、手ぶれモード2(α7R5)で撮影。ローターがいい感じで流れてくれました。手ぶれ補正が誤作動することがありましたが、このカットは正常に撮影できました。Kenko NDフィルター PRO1D プロND8(W)を装着。

▲シャッタースピード1/1000秒、手ぶれモード3(α7R5)で撮影。ローターが止まった感じになりました。

まとめ

流し撮りの上達は「練習あるのみ」と言われます。しかし、ミラーレスカメラ全盛の今、個人的な主観は「適切な手ぶれ補正モードを選択すること」が重要だと思います。カメラやレンズの取扱説明書を熟読し、流し撮りに適したモードを設定することが上達のコツです。手ぶれ補正は誤作動が生じることもが多く、「怪しい」と感じたらOFFまたは異なるモードを試してみる柔軟な発想が必要です。

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