SDカード選びの基準は「容量」「スピード」「信頼性」「価格」など、購入するユーザーの用途や価値観によってさまざまですよね。今回は、SLCセルを採用しながらリーズナブルな価格を実現したSUNEAST製SDカード「ULTIMATE PRO」に注目。SDカードの構造を浅く勉強しながら「高価なSDカードはなぜ高いのか?」という疑問に迫ってみました。
結論
Blackmagic Disk Speed Test(Mac環境)の計測結果
▶︎ 書き込み速度 206MB/s
▶︎ 読み取り速度 236MB/s
UHS-II V90規格の高速書き込み&高耐久モデル!
現在発売中のSDカードの最速規格は「UHS-II V90クラス」です。最高速に君臨する製品はソニーTOUGH SF-Gシリーズ(書き込み速度299MB/s、読み取り速度300MB/s)になります。
しかし、高価格がゆえ、誰もが気軽に購入できる状況ではありません。
今回紹介するSUNEAST製「ULTIMATE PRO」のウリは、ズバリ「SLCセル」を採用しながらもリーズナブルを実現した製品であること。一番人気の128GBは、高価なSLCメモリーを採用しながら1万5000円台で購入できるので、ちょっと予算を奮発すれば手がとどくところにあります。
「SLCセル採用モデル」というだけでパソコンに詳しいカメラオタクにとってはアンテナがビンビン反応するハズ。比較的ローコストで「自己満足に浸れるSDカード」と言えます。
SLCとは?
SDカードの記録方式は、おもにSLC、MLC、TLCの3種類あります。
現在発売しているSDカードは、ほとんどがTLCセルを採用した製品です。SLCセルを採用した製品は、産業用や業務用などの一部に採用される限定的な状況にあり、過剰スペックかつ高価格であるため家電量販店の店頭に並ぶことは皆無に等しいといえます。
記録メディアは、セルタイプによって保存できるデータ量が変化します。TLCセルは省スペースに大量のデータを記録できる特徴があり、SLCセルは面積当たりに記録できるデータ量が少なくなる特性があります。
TLCセルは記録媒体を小型化できるため価格を抑えることができます。SLCセルは信頼性が高い反面、記録媒体が大型化するため高価になります。
記録方式とスピードの関係 SLC>MLC>TLC
記録方式と耐久&信頼性の関係 SLC>MLC>TLC
記録方式と価格の関係 TLC>MLC>SLC
SLCセル採用をメーカーが公式発表している製品は下記3製品。
SONY | TOUGH SF-Gシリーズ | 128GBの参考価格 ¥36,000円 |
ProGrade Digital | COBALT 300Rシリーズ | 128GBの参考価格 ¥16,631円 |
SUNEAST | ULTIMATE PRO | 128GBの参考価格 ¥15,800円 |
SONY「TOUGH SF-Gシリーズ」、ProGrade Digital「COBALT 300Rシリーズ」は、SDカードとしては圧倒的高価格な製品です。その牙城に「TLCセル価格+αのコストパフォーマンス」で参戦してきたのが「ULTIMATE PRO」になります。
SUNEAST SDXC UHS-II V90 「ULTIMATE PRO」
SDカードの「SUNEAST」ブランドは、まったく認知されていないブランドですよね。あまりにマイナーなので「怪しいブランドでは?」と疑ってしまいます。
発売元を調べてみると大阪市に本社を構える「株式会社旭東エレクトロニクス」の製品です。会社設立は2017年8月、会社設立当初はBTOパソコンメーカーに「SSD・PC メモリ・フラッシュメモリ」などのOEM供給して企業規模を拡大中の新進気鋭のブランドです。
同社が扱うSDカードは、SLCメモリーを採用した「ULTIMATE PRO」の1種類のみ。マイクロSDカードは3種類販売していますが、MLCメモリーを採用を製品を扱い、性能にこだわった製品ラインナップが特徴です。
ファブレスメーカーとして工場を持たず、委託生産により製造した製品を販売してると思われます。
今回購入した「ULTIMATE PRO 128GB」は、アマゾン公式ショップから購入しました。商品は箱に梱包された状態で届きました。製造国は、パッケージ裏に「台湾製」と記載があります。
動作確認済カメラを公開中
メーカー公式WEBページに動作確認済カメラリストが公開中です。
2021年12月1日現在
開封の義
元箱を開封すると、ケースに収納された状態のSDカードが透明トレーに収まっています。説明書等は付属しません。
ソニー「TOUGH SF-Gシリーズ」やProGrade Digital「COBALT 300Rシリーズ」は、データを誤って消去した時にリカバリー(復元)するソフトが付属しますが「ULTIMATE PRO」は付属しません。
▲ 正面
カード容量の128GBが一目でわかるデザインです。書き込み防止のロック機能付きです。
▲ 裏面
UHS-II準規なので接点は2段。本体は細部までしっかり作りこまれています。
ULTIMATE PROのポテンシャル
種類 | 読み取り速度 ※公称値 | 書き込み速度 ※公称値 |
SUNEAST ULTIMATE PRO |
300MB/s | 290MB/s |
SUNEASTのSDXCカード「ULTIMATE PRO」シリーズは、読み取り速度300MB/s、書き込み速度290MB/sのSDカード規格最上位(UHS-II V90)の製品です。
ひとことでV90クラスといっても実速値は一定ではなく、ULTIMATE PROは実速値においても最高レベルの速さを誇ります。
2021年現在、SDカードの最速は、ソニーのTOUGH「G」シリーズの「読み取り速度300MB/s、書き込み速度290MB/s」が最速です。ULTIMATE PROシリーズは、書き込み速度がわずかに劣りながらも公称スペック的には2番目に高速なメディアになります。
フルハイビジョン〜8K撮影に対応
ビデオクラスV90準規は、2021年現在のSDカード最強規格です。フルハイビジョン撮影からシネマ品質の4K動画、高ビットレートでなければ8K動画の収録にも対応する規格です。
価格がお買い得
メディア容量は3種類。写真撮影重視なら64GB、HD動画収録重視なら128GB、4K動画収録重視なら256GBをオススメします。
製品 | 読み出し・書き込み速度 | アマゾン価格(税込) 2022年10月現在 |
ULTIMATE PRO 64GB | 300MB/秒、290MB/秒 | ¥9,080円 |
ULTIMATE PRO 128GB | 300MB/秒、290MB/秒 | ¥17,180円 |
ULTIMATE PRO 256GB | 300MB/秒、290MB/秒 | ¥32,800円 |
実測値
私のパソコン環境はMacなので、読み書きのスピードテストをBlackmagic Disk Speed Testで計測しました。USBハブ経由とUSB-C接続で計測でしたが速度に大差ありませんでした。
Mac環境におけるスピードは上記の通り。キングストンのCanvas React Plus(読み出し速度:約250MB/s、書き込み速度:230MB/s)には及びませんでしたが、ネット上にWin環境で公称値が出ている報告も寄せられています。
Mac環境は、SDカードのスピードが出づらい傾向にあるので仕方ありませんね。
信頼性
α9とα7RIVで動作確認しました。4K30P動画も問題なく収録できます。
保証
SDカードの保証期間は「購入日」から5年間です。
注意点
▶︎ UHS-IIに対応したカメラが必要です。
▶︎ UHS-II対応カードリーダー、USB3.0以上が必須です。
▶︎ パソコンまたはバックアップメディアがSSDでないと本来のコピー速度が発揮されません。外つけハードディスクにコピーすると、ハードディスクの書き込み速度まで低下します。
上記3点を満たさないとSDカード本来の性能が引き出せず「過剰スペック」になります。
まとめ
SLCセルをリーズナブルに入手したい人にオススメの製品です。
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