【レビュー】通常レンズでマクロ撮影できるマクロエクステンションチューブの魅力

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アクセサリー

通常レンズを使って撮影する時、被写体を大きく撮ろうと近づくとピントが合わないといった経験はありませんか? レンズには「最短撮影距離」があり、その数値より近くで撮影しようとしてもピントが合わず、ズームレンズは近接撮影が苦手な傾向です。近接撮影には「マクロレンズ」を使用するのが定番ですが、使用頻度の少ないレンズがゆえ、欲しくても購入を決断できない人も多いと思います。

そのような時、通常レンズで近接撮影できるマクロエクステンションチューブやマクロフィルターを使った撮影法があります。フィルム時代にはメーカー純正品も販売されていましたが、電子制御が普及した現在、見かける機会が少なくなりました。ところが、困った時の中華製品。探してみると互換品が販売されていました。

実際に購入した感想など重要なポイントをレビュー記事にまとめましたので、最後まで読んでもらえると嬉しいです。

TEXT/PHOTO:ちゃんまさ

マクロエクステンションチューブとは?

通常レンズでマクロ撮影できるアイテム

ちゃんまさ評価 ★★★★★★★☆☆☆ 7点

メリット
●通常レンズでマクロ撮影できる
●比較的安価
●電子接点付きでAF・絞り制御が可能
●レンズ情報をカメラに伝達できる

デメリット
●遠景にピントが合わない
●広角はピントが合う距離範囲が極端に狭い
●実効F値が暗くなる

所感

今回紹介するMeikeオートフォーカスマクロエクステンションチューブセットは、ソニーαのFEレンズに対応する製品の中でも、比較的安価な製品です。鏡筒本体の材質はプラスチック製ですが、機能的には問題なく使用できました。カメラとレンズの中間に装着して使用しますが、レンズを内蔵するテレコンとは異なり、マクロエクステンションチューブ内部は空洞(レンズなし)になっています。

価格は3000円弱と安価ですが、結論から先に述べると弱点を理解して使用すれば「マクロ撮影したい」という要望を叶えてくれます。専用のマクロレンズと比べると、遠景にピントが合わなかったりピントが合う範囲が極端に狭くなるデメリットがありますが、手軽にマクロ撮影できる点は評価すべきだと思います。

私はマクロレンズも所有していますが、モーター性能が低く、動画撮影時にAF動作がギクシャクして使い物にならず、動画でマクロ撮影できる代替案を探していました。というわけで、この製品をFE24-105mmに装着しましたが、問題なくAFが動作し、リニアモーターの滑らかなピント送りで撮影できたので大満足です。

ただし、広角側が近く寄れる反面、ピントが合う範囲が極端に狭くなります。当初の予定が「広角でもう少し寄りたい」だったのですが、画角が24mmでは50cmの距離でもピントが合わず、5cmぐらいまで寄るとピントが合う状態でした。

簡易マクロ撮影グッズ2選

マクロエクステンションチューブセットを購入するにあたり、競合のマクロ撮影グッズを比較検討しました。要点だけご紹介します。

マクロエクステンションチューブ(接写リング・中間リングなど)

装着位置 → カメラとレンズの中間(テレコンバーターのような感じ)
用途
→ 高倍率マクロ撮影向き
画質 → 周辺部が解像度低下しやすい

カメラとレンズの間に装着して通常レンズでマクロ撮影できるアイテムです。電子接点付きタイプとなしタイプがありますが、AFや絞りを使用するなら電子接点付きを選択することが必須です。同一マウントなら全てのレンズに装着できるため汎用性は高くなります。厚みが増すほど撮影倍率は大きくなります。中華製なら比較的安価に購入できます。

リングタイプのメリットとデメリット

メリット
○:同一マウントのレンズに対応
○:リング厚の組み合わせにより倍率変更できる

デメリット
×:焦点距離により最短撮影距離が変動する

電子接点付きのメリットとデメリット

メリット
○:AFと絞りが動作する

デメリット
×:相性により正常動作しない場合あり

接写フィルター(クローズアップレンズなど)

装着位置 → レンズの先端(レンズフィルターのような感じ)
用途
→ フィルターを揃えれば低倍率〜高倍率マクロ撮影に対応
画質 
→ 低倍率フィルターを選択すれば画質低下は許容できるレベル

レンズ先端のフィルターネジにレンズ付きフィルターを取り付け、通常レンズでマクロ撮影できるアイテムです。フィルター径や撮影倍率など様々なタイプが用意されていますが、基本的に口径の異なるレンズには装着できないため汎用性が低くなります。価格は、レンズ口径が大きくなるほど高価になるため導入コストがかさみます。工学性能が劣化する懸念がありますが、低倍率フィルター装着時の画質は、中間リングより画質低下は少なく感じます。

フィルタータイプのメリットとデメリット

メリット
○:AFと絞りが動作する
○:実効F値が暗くならない
○:低倍率フィルターは画質が良い

デメリット
×:口径の異なるレンズに装着できない
×:倍率ごとにフィルターを揃える必要あり
×:凸レンズなのでキャップが装着できない

商品開封

Meikeオートフォーカスマクロエクステンションチューブセット

Meikeオートフォーカスマクロエクステンションチューブセット(ソニーEマウント用)の商品パッケージはこんな感じです。箱が潰れているのはご愛嬌。

▲開封すると10mm厚と16mm厚のマクロエクステンションチューブが連結した状態で梱包されていました。レンズキャップも付属。

▲チューブ本体は、電子接点付きです。専用回路などは組み込まれていない感じです。

同梱物 マクロエクステンションチューブ10mm・16mm・レンズキャップ

本体デザイン

▲本体はプラスチック製ですがマウント部は金属を使用しており質感は悪くありません。ネット情報では「マウントの締まりが硬い」という意見を見かけましたが、私の個体は違和感を感じませんでした。

▲レンズ着脱は、チューブ本体のロック解放レバーを引いて操作します。テレコンと同様ですね。

FE 24~105mm F4 G OSSで検証

FE 24~105mm F4 G OSSにMeikeオートフォーカスマクロエクステンションチューブセットを装着し、最短距離と最長距離を測定しました。

●FE 24~105mm F4 G OSSの基本情報

最短距離 レンズ先端から:約260mm センサー面から:約380mm
最長距離

マクロエクステンションチューブ10mm装着時

▲10mmのマクロエクステンションチューブを装着した時のピントが合う範囲は下図の通り。レンズの最短距離と最遠距離で計測しました。

ピントが合う範囲 24mm時:レンズ先端から:約24mm〜約52mmの範囲
35mm時:レンズ先端から:約48mm〜約130mmの範囲
50mm時:レンズ先端から:約89mm〜約300mmの範囲
70mm時:レンズ先端から:約110mm〜約515mmの範囲
105mm時:レンズ先端から:約123mm〜約1325mmの範囲

▲10mm+16mmのマクロエクステンションチューブを装着するとこんな感じになります。

倍率変化

FE24~105mm F4 G OSS 105mm(フォーカス位置:最短距離)で撮影

FE24~105mm F4 G OSS 105mm(フォーカス位置:最短距離)に10mmチューブを装着して撮影

FE24~105mm F4 G OSS 105mm(フォーカス位置:最短距離)に16mmチューブを装着して撮影

FE24~105mm F4 G OSS 105mm(フォーカス位置:最短距離)に10mmと16mmチューブを装着して撮影

画質

マクロエクステンションチューブは、工学レンズを使用しないマクロ撮影方法になります。レンズを介さないので画質劣化は無いように思えますが、画像中央部の解像度は十分な品質が得られますが、周辺部はソフトフォーカスがかったような感じで解像感が甘くなります。

ただし、ポスター印刷するような用途では画像劣化が判別できると思いますが、SNSやブログ用途の画像では気にならないレベルです。

▲FE24~105mm F4 G OSS 105mm(フォーカス位置:最短)に10mmと16mmチューブを装着して撮影した画像を部分拡大しました。

▲画像中央部の画質はシャープな印象です。

▲画像周辺部の画質は、にじんだ感じで甘くなります。レンズの歪みも出てきます。また、レンズ歪み補正が正常に動作していない印象です。

まとめ

カメラバックに忍ばしておくと「アップを撮りたい」というニーズに応えてくれます。

この記事を書いた人
ちゃんまさ

雑誌編集部勤務を経て、個人制作会社を設立。30年以上にわたり雑誌取材、企業の企画執筆・写真撮影・TV番組の撮影などに従事。業務で得た経験や知見をもとに、カメラ・写真レタッチ・動画編集・商品レビューなどの情報を発信します。

ソニーイメージングプロサポート会員 NPS会員

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