検証協力:じゃんかすパンダ Text/Photo:ちゃんまさ
RAW現像ソフト「DxO PhotoLab 6」は、ノイズ低減機能「DeepPRIME XD」に定評がある人気のソフトウェアですよね。
DeepPRIMEやDeepPRIME XDの評判を聞き試用版をインストールしたものの「処理時間に30分以上かかる・・・」という声をよく聞きます。
そこで、DxO PhotoLab 6の処理時間を「独自検証」し、PCスペックと処理時間の関係を調査。どのようなPCスペックを用意すれば「DeepPRIMEやDeepPRIME XD」が軽快に処理できるか調べてみました。
パソコン買い替えを検討している人の中にも「どこで買えばいいの?」「どんなPCを買えばいいの?」とわからない人のために、コスパ重視の選び方やおすすめの推奨パソコンも紹介していますので、ぜひ最後までチェックしてみてくださいね。
パソコンのスペック不足を疑うべき2つのサイン
- DeepPRIME XD処理に10分以上かかる
- 初期設定画面でGPU処理を選択できない
- プレビューのレスポンスが悪い
上記項目が該当したらパソコン選びの失敗または買い替えサインです。
PhotoLab 快適度診断チェック
- 処理時間が5分以上 → ストレスMAX PC買い替え必至!
- 処理時間が3分以上 → PC買い替え予備軍?
- 処理時間が1分以内 → 快適 ※12万円クラスのPC導入で実現可能
- 処理時間が30秒以内 → 神の領域
「DeepPRIME XD」の処理時間を計測します。2000万画素のRAWデータなら楽々クリアできると思いますが、6000万画素になると一気にハードルが高くなります。
参考までに、ニコンD850の4500万画素の場合、12万円クラスのPCを厳選すれば「DeepPRIME XD」処理で神認定の12秒前後で処理できますよ!
PhotoLab のシステム要件
PhotoLab 6 ※2023年8月現在 最小 推奨 CPU SSE 4.1 をサポートする CPU Intel Core プロセッサ (6 コア以上) または AMD Ryzen システムメモリ 8GB 16GB グラフィック Windows10 バージョン 20H2 がサポートしているもの NVIDIA RTX2060、AMD Radeon RX 6600 および最新ドライバ ディスク 4GBの空き領域があるハードディスク 6GBの空き領域があるハードディスク
最低システム要件は、すごくハードルが低く、グラフィックボードも10年前のもので動きそうな印象ですが・・・。実際は、このスペックのパソコンでは快適な処理はおこなえません!
推奨スペックは、6コアCPUとRTX2060という高めのスペックが推奨されています。
DeepPRIME XD の処理時間を検証
私が業務用途で使用中のRAW現像用PCスペック
- CPU:AMD Ryzen 5 4500
- マザーボード:MSI B550 PRO-VDH WIFI
- グラフィックボード:NVIDIA GeForce RTX 3060 ※VRAM 12GB
- SSD:2TB
- メモリ:32GB RAM
- 電源:650W 80PLUS
※NVIDIA Studio Driverを使用
CPUは、世代の古い低スペックですが、6コア12スレットで動作するため、 DxO PhotoLab 6のシステム推奨スペックに適合。グラフィックボードは、ミドルクラスのRTX 3060 VRAM 12GBを選択し、快適に動作します。
BTOパソコンなら12万円程度から購入できるコスパ志向の自作パソコンです。
検証1 AMD Ryzen 5 4500+GTX 1660 SUPER
SONY α7RV(6100万画素)、NIKON D850(4500万画素)、EOS1DX MarkIII(2010万画素)のRAWデータに、DxO PhotoLab 6で処理した時の時間を計測しました。
グラフィックボードにエントリークラスのGTX 1660 SUPERを装着して、ノイズ除去の処理時間を計測しました。
▶︎▶︎ GTX 1660 SUPER
GTX 1660 SUPER | SONY α7RIV 6100万画素RAW |
NIKON D850 4500万画素RAW |
CANON EOS1DX MarkIII 2010万画素RAW |
|||
GPU処理 | CPU処理 | GPU処理 | CPU処理 | GPU処理 | CPU処理 | |
HQ | 19秒 | 19秒 | 5秒 | 5秒 | 3秒 | 3秒 |
PRIME | 1分00秒 | 1分00秒 | 19秒 | 19秒 | 17秒 | 17秒 |
DeepPRIME | 23秒 | 1分06秒 | 12秒 | 1分17秒 | 18秒 | 43秒 |
DeepPRIME XD | 52秒 | 9分04秒 | 28秒 | 4分48秒 | 2秒26秒 | 2分49秒 |
ちゃんまさ独自テストの結果 ※2023年8月
「DeepPRIMEとDeepPRIME XD」の処理時間は、GPU処理に対応するためCPU処理より約10倍高速に変換できました。「HQとPRIME」はGPU処理に非対応なので、処理時間に変化は現れませんでした。
GTX 1660 SUPERのポテンシャルでも、及第点に収まる人は多いのではないでしょうか?
検証2 AMD Ryzen 5 4500+RTX 3060
▶︎▶︎ RTX 3060装着で処理時間の大幅短縮を実現
RTX 3060 | SONY α7RIV 6100万画素RAW |
NIKON D850 4500万画素RAW |
CANON EOS1DX MarkIII 2010万画素RAW |
|||
GPU処理 | CPU処理 | GPU処理 | CPU処理 | GPU処理 | CPU処理 | |
HQ | 20秒 | 20秒 | 7秒 | 7秒 | 4秒 | 4秒 |
PRIME | 1分06秒 | 1分06秒 | 19秒 | 19秒 | 17秒 | 17秒 |
DeepPRIME | 14秒 | 1分06秒 | 6秒 | 1分17秒 | 4秒 | 43秒 |
DeepPRIME XD | 24秒 | 9分04秒 | 12秒 | 4分48秒 | 7秒 | 2分49秒 |
ちゃんまさ独自テストの結果 ※2023年8月
RTX 3060で処理すると「DeepPRIMEとDeepPRIME XD」の変換時間は、CPU処理より約23倍速く変換できました。GTX 1660 SUPERより2倍近い高速化です。
Ryzen 5 4500の性能不足を危惧する人も多いですが、まったく問題ありません。
パソコン選びで優先すべき項目
・CPUの重要度 ★★★★☆
・グラフィックボードの重要度 ★★★★★
・メモリの重要度 ★★★★☆
・SSDの重要度 ★★★☆☆
DxO PhotoLab 6は「DeepPRIMEとDeepPRIME XD」をGPU処理することがパソコン選びの核心になります。また、HGとPRIMEはGPU処理に非対応のため、CPUの性能アップが速度向上につながります。
「DeepPRIMEとDeepPRIME XD」の処理時間を独自検証すると、NVIDIA GeForce GTX 1660 SUPER以上のグラフィックボードを搭載すれば、そこそこ高速に変換処理できることが判明しました。また、同機能を搭載するPureRAW 3よりも高速で処理できました。
メモリは、6100万画素のデータを扱う時、DeepPRIME処理時に8GBを消費したため、8GB RAMでは役不足です。プラグインでAdobeソフトにエクスポートするなら32GB RAMを搭載しても決して無駄にはなりません。
CPUは6コア12スレッド以上あれば十分。
SSDは、M.2 MVMe Gen3以上を選択すれば問題ないでしょう。
DxO PhotoLab が軽快に動作する推奨CPスペック
- CPU:Intel Core i5 または Ryzen 5以上
- グラフィックボード:NVIDIA GeForce RTX 3050以上
- SSD:500GB 以上
- メモリ:16GB RAM 以上
RTX 3060 VRAM 12GB
- MSI GeForce RTX 3060 VENTUS 2X 12G OC https://amzn.to/44t3U8X
- 玄人志向 NVIDIA GeForce RTX3060 GALAKURO https://amzn.to/45GNPxm
- ASUSTek NVIDIA RTX 3060 Axial-tech https://amzn.to/45po3Ot
- ASUS TUF Gaming NVIDIA GeForce RTX 3060 V2 https://amzn.to/3YOUF1C
- GIGABYTE NVIDIA GeForce RT X3060 https://amzn.to/45qaNZY
費用対効果
優先順位:グラフィックボード > CPU = メモリ > SSD
推奨グラフィックボード: RTX 3050 VRAM 8GB以上
ちゃんまさ監修 おすすめクリエーターPC
DxO PhotoLabやRAW現像ソフトを相性と相性の良いパソコンを、独自検証結果を考慮して厳選しました。買うべきパソコンはコレです!
RAW現像&写真編集に最適な基本モデル
Ryzen 7 5700X × GeForce RTX 3060
メーカー | ツクモBTOパソコン G-GEARシリーズ |
OS | Windows 11 Home |
CPU | AMD Ryzen 7 5700X |
メモリ | 16GB (8GB×2) |
グラフィックボード | GeForce RTX 3060 12GB VRAM |
ストレージ | 1TB (NVMe) |
価格 | 147,100円(税込)〜 |
ツクモ販売ページ▶︎ G-GEAR GA5A-D230/B
※標準構成 Ryzen 7 5700X × GeForce RTX 4060Ti 8GBの「カスタム・お見積」ボタンから選択
メリット | デメリット |
・8コアのRyzen 7 5700X搭載 ・RTX 3060 12GB VRAM搭載 ・背面USB 3.2 Gen2 10G Type-A・Cポートあり ・MSI製B550-A PROマザーボード採用 ・750W電源 80PLUS GOLD認証 |
・ケースデザインが保守的 ・CPUクーラーを強化したい |
Photoshop、LightRoom ClassicからHD動画編集まで不満なく作業できます。マザーボードはMSI製B550-A PRO(ATXサイズ)、電源は750W 80PLUS GOLD認証を採用します。
▶︎おすすめカスタム
メモリ32GB換装 +12,100円
ID-COOLING製CPUクーラー(SE-224-XTS/静音FAN)+5,500円
CoolerMaster製CPUクーラー(RR-2V2E18KP-R2/静音FAN)+8,800円
▶︎アドバイス
標準搭載のCPUクーラーはお世辞にも高性能とは言えません。オプションのID-COOLING製CPUクーラーまたはCoolerMaster製CPUクーラーを選択すると、静音性と高負荷時のクロック低下を抑えることができます。CPUクーラーは後から交換しづらい部品なので、メモリ32GB換装より優先度は高くなります。
簡易水冷搭載モデル
Ryzen 7 5700X × GeForce RTX 4060ti
メーカー | マウスコンピューター NEXTGEARシリーズ |
OS | Windows 11 Home |
CPU | AMD Ryzen 7 5700X |
メモリ | 16GB (8GB×2) |
グラフィックボード | GeForce RTX 4060ti 8GB VRAM |
ストレージ | 1TB (NVMe) |
価格 | 169,800円(税込)〜 |
マウスコンピューター販売ページ▶︎ NEXTGEAR JG-A7G6T
メリット | デメリット |
・8コア16スレットのRyzen 7 5700X搭載 ・RTX 4060ti 8GB VRAM搭載 ・背面USB 3.2 Gen2 10G Type-A・Cポートあり ・B550チップセットマザーボード ・240mm水冷CPUクーラー標準装備 ・3年間センドバック修理保証 ・ケースファン4個搭載(簡易水冷用の2個含む) |
・電源クラスがBRONZE認証 |
Photoshop、LightRoom ClassicからHD動画編集まで不満なく作業できます。マザーボードはB550チップセット搭載のマザーボード、電源は750W 80PLUS BRONZE認証を採用します。
注目すべきは、CPUクーラーに240mm簡易水冷を標準搭載する点が魅力的です。また、期間限定でSSDが高速なGen4×4に無償アップグレード中です!
▶︎おすすめカスタム
メモリ32GB換装 +15,400円
750W電源 80PLUS GOLD認証換装 +3,300円
▶︎アドバイス
長時間作業する人は、電気変換効率の高い750W 80PLUS GOLD認証換装がオススメ。弱点の少ないBTOパソコンです。
RAW現像以外に動画編集も快適に作業したい
Ryzen 7 5700X × GeForce RTX 4070
メーカー | ツクモBTOパソコン G-GEARシリーズ |
OS | Windows 11 Home |
CPU | AMD Ryzen 7 5700X |
メモリ | 16GB (8GB×2) |
グラフィックボード | GeForce RTX 4070 12GB VRAM |
ストレージ | 1TB (NVMe) |
価格 | 202,100円(税込)〜 |
ツクモ販売ページ▶︎ G-GEAR GA5A-D230/B
メリット | デメリット |
・8コアのRyzen 7 5700X搭載 ・RTX 4070 12GB VRAM搭載 ・背面USB 3.2 Gen2 10G(Type-A/C) ・MSI製B550-A PRO採用 ・750W電源 80PLUS GOLD認証 |
・ケースデザインが保守的 ・CPUクーラーを強化したい |
Photoshop、LightRoom ClassicからHD動画編集まで不満なく作業できます。グラフィックスカードをRTX4070に強化することで、AI系エフェクトの高速処理やGPUを活用した高速書き出しに対応します。マザーボードはB550-A PRO、電源は750W 80PLUS GOLD認証を採用します。
▶︎おすすめカスタム
メモリ32GB換装 +12,100円
ID-COOLING製CPUクーラー(SE-224-XTS/静音FAN)+5,500円
CoolerMaster製CPUクーラー(RR-2V2E18KP-R2/静音FAN)+8,800円
▶︎アドバイス
標準搭載のCPUクーラーはお世辞にも高性能とは言えません。オプションのID-COOLING製CPUクーラーまたはCoolerMaster製CPUクーラーを選択すると、静音性と高負荷時のクロック低下を抑えることができます。CPUクーラーは後から交換しづらい部品なので、メモリ32GB換装より優先度は高くなります。
PhotoLab のよくある質問
普通のPCとクリエーター&ゲーミングPCの違いは?
家電量販店で売っている「普通のPC」とクリエーターPCやゲーミングPCは、性能が違います。普通のPCでもDxO PhotoLab 6は動作しますが、話題のDeepPRIMEとDeepPRIME XDの処理に時間がかかるはずです。
DxO PhotoLab 6に最適なパソコンを購入することで、汎用パソコンで20分以上かかる処理が数秒で完了します。
いわゆる高性能なグラフィックボードの有無が決定的な違いです。専用グラフィックボードを搭載すると、動画編集、3Dモデリング、AI画像生成などクリエイディブな作業が快適におこなえます。
CPUメーカーと構成は?
インテル:Core i9 > Core i7 > Core i5 > Core i3
AMD: Ryzen 9 > Ryzen 7 > Ryzen 5 > Ryzen 3
数字が大きくなるほど高性能ですが「価格・消費電力・発熱量」が大きくなります。
インテルならCore i5以上、AMDならRyzen 5以上のCPUを選択すれば問題ありません。Core i3の13世代は高性能ですが、システム要件で6コア12スレット以上が推奨されているので、候補から外した方が無難です。
グラボ非搭載でも快適に動作する?
システム要件はCPUのみでも処理できますが、快適に作業するならグラフィックボード必須。新規購入するならCPU内蔵GPUは候補から外しましょう。
CPUとグラフィックボード どっちを重視すべき?
CPUは、実売1万円クラスのAMD Ryzen 5 4500+ティテールクーラーでも十分なポテンシャルを発揮します。
DxO PhotoLab 6の処理時間は、グラフィックボード性能が大きく左右します。予算が許す限り、GeForce RTX 3060以上の導入をすすめします。
デスクトップとノート どっちがおすすめ?
デスクトップPCは、後からパーツ交換できるメリットがあります。数年後に性能不足を感じた時、GPUやCPUをアップグレードして延命策が計れます。モニター選択自由度が高い点も、デスクトップPCのメリットが大きくなります。
ノートPCは、CPU、グラフィックボード、メモリがマザーボードにハンダ付けされた製品が多く、物理的にパーツ交換ができません。また、モニター性能が劣悪な場合、正確な色を表示できない別の問題と直面します。
デスクトップPCは周辺機器が別途必要!?
デスクトップPCは、一般的に「モニター、キーボード、マウス」は別売りです。すでにデスクトップPCを運用中で、PC本体だけを買い換える場合は周辺機器を流用できますが、新規購入する場合「+α」の予算が必要です。
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