PLフィルターの使い方やテクニック紹介【おすすめはこの製品で決まり!】

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トピックス

写真用フィルターには、無色透明のプロテクターフィルターから色調を補正するカラーフィルターなど様々な製品があります。C-PLフィルターは、反射光をコントロールするために開発された製品です。水面やガラス表面などに映り込む不快な反射光をカットしたり、大気中の乱反射を抑えることで風景写真を鮮やかに演出できます。

しかし、多くの人はC-PLフィルターの正しい使い方を理解せず、思いつきで使っているケースが多いようです。今回は、C-PLフィルターの「使い方」と「選び方」について詳しく解説します。

結論を先に申し上げると、フィルター前枠に記載されたマークを頂点に合わせた状態が標準状態。そこから左右90度、合計180度の領域で回転させ無駄な光をカットします。

PLフィルターの使い方

C-PLフィルターの構造は、レンズに装着する「後枠」をベースに、円周方向に回転する「前枠」の二重構造になっています。撮影時は、前枠を回転させて使用します。

前枠のマークを頂点に合わせる

C-PLフィルターの多くは前枠の外周状に「▲」などのマークが記載されています。このマークは、カメラを構えた時、前枠の「真上」に来るように合わせるための目印です。レンズにC-PLフィルターを装着したら、「▲」マークを頂点に調整しましょう。

マークが頂点にある状態は、目には見えませんが「偏向膜スリットが水平になった状態」になり、PLフィルターを運用する上で基本になります。

魚釣りなどに使われる偏向グラス(サングラス)は、偏向膜スリットが水平にセットされており、偏向グラスをかけたときと同じ効果が得られます。

一般的に「偏向膜スリットが水平になった状態」は、垂直かつ上方向からの光に対して最も強力な効きが得られると言われています。

使用領域は頂点から左右90度の範囲

C-PLフィルターの効果が得られる範囲は、頂点の「▲」マークを基準に、左右90度の範囲。

前枠を回転すると、目に見えない偏向幕スリットに角度がつきます。そうすることで斜め方向や横からの光をカットします。前枠は380度回転しますが、実際に使用するのは上半分の180度の領域になります。

最大効果は反射角90度

太陽(光源)に対して90度の反射光除去に最大の効果を発揮します。「▲」マークは太陽(光源)の方向に合わせ、フィルター効果の強弱は、カメラの立ち位置を上下(立ったり座ったり)することで強弱を調整できます。「▲」マークをどれだけ回転しても除去能力は向上しません。

理論上の話になりますが、早朝の太陽高度が低い状態の撮影は、PLフィルターの効果が少なくなります。太陽の高度が高くなった時、最大効果が得られることになります。いろいろな要素があるため100%該当する訳ではありませんが、覚えておくと役立つかもしれません。

マークがない製品の対処法

前枠に頂点マークのない製品(Kenko Zeta Quint C-PLフィルターなど)があります。このような製品は、パソコンやテレビの液晶モニターの正面に移動し、C-PLフィルター単体を手で持ち「裏側」から画面を注視します。前枠を回転させると液晶モニターが真っ黒になる領域があります。この状態が偏向膜が水平になった状態です。前枠上部にマーカーやシールを貼って独自の目印を付けると良いでしょう。

※PLフィルターは、裏側(レンズ側)から覗かないと効果が確認できません。

フィルターの最大効果

マークが頂点の状態 = 偏向膜スリットが水平状態

偏向膜スリットが水平状態になると、垂直方向からの光に対してもっとも強力な反射除去能力を発揮します。また、左右方向に90度回転すると、偏向膜スリットが垂直状態になり、横方向からの反射除去能力が向上します。はんめん、垂直方向からの除去能力は弱くなるため妥協が必要になります。

レンズ選びの注意点

前玉が回転するレンズはC-PLフィルターを使った撮影に不向き

安価なレンズの中には、フォーカス時にレンズ前玉が回転する製品があります。このようなレンズにC-PLフィルターを装着すると、フォーカスごとにマークの位置がズレてしまいます。マニュアルフォーカス後にフィルター調整しましょう。

使いこなしテクニック

前枠マークを頂点に合わした状態でファインダーを覗きます。

屋外で撮影する場合、朝と昼では太陽の高度が違います。また、順光と斜光では角度が異なります。

真上から左右90度の合計180度の範囲で前枠を回転させ、取り除きたい反射光が最も除去できる位置を探りながらイメージにあったところで撮影します。

垂直方向の反射を消す方法

光源が垂直方向にある場合、前枠マークを頂点に合わした状態が最大値になります。前枠を回転させても効果が得られない場合がほとんどです。

横・斜め方向の反射を消す方法

光源が斜め方向や横方向からの場合、例えばガラスなどの映り込みを消したい時、まずは映り込んでいる方向を探します。その方向に頂点マークを合わすと、反射光が消える場合が多いです。

例1:池の水面の映り込み(反射)などを除去する場合。
例2:店舗外観のガラスの映り込み(反射)などを除去する場合。

※私が実戦で得た方法なので、間違っているかもしれません。

方向が異なる2箇所の反射は同時消去できない

C-PLフィルターの偏向膜スリットは、指向性の高い特性があり、特定の角度からの反射光をピンポイントで減衰でします。しかし、方向の異なる2箇所から反射光が入った場合、どちらか一方しか消すことができません。その際、悪影響を及ぼす反射を選別して、もう片方の反射は諦めることになります。

逆光は効果なし!?

C-PLフィルターの効果がもっとも得られない状態かもしれません。C-PLフィルターには、意外と多くのデメリットがあるので、取り外した方が良い結果が得られるかもしれません。

デメリット

万能な感じのC-PLフィルターですが、多くのデメリットがあります。ここではC-PLフィルターの弊害にも触れておきます。

露出が暗くなる

C-PLフィルターは、偏向膜と位相差板の相乗効果によって余分な光をカットするため露出倍数が1〜3絞り分暗くなります。3絞り分とは1/125秒のシャッタースピードが1/15秒になることを意味します。

▶︎手持ち撮影時に手ブレしやすくなります。

解像度が低下する

C-PLフィルターは「構造的に2枚のガラス、フィルム状の偏向膜スリット1枚、位相差板1枚」による合計4重の複雑な構造になっています。個人的な印象ですが、望遠になるほど解像度が低下する印象です。

▶︎偏向膜スリットや位相差板の品質が悪いと解像度が著しく低下します。

着色する

偏向膜スリットは薄いフィルムのため、低品質の偏向膜スリットが用いられているとカラーバランスが悪くなることがあります。写真が黄ばんだり青くなることがあります。

▶︎偏向膜スリットはフィルムのため、経年劣化により変色(変色)します。

フレアが発生しやすい

構造的に2枚のガラスと2枚のフィルムで構成されているため、逆光時にゴーストやフレアが発生しやすくなります。高確率で発生すると思った方が無難です。

▶︎画角調整で回避するしか方法はありません。

フィルター枠が厚くてケラれやすい

C-PLフィルターは、構造的にフィルター本体が厚くなりがちです。最高スペックの商品を選択しても、通常の薄枠フィルターより厚みが増します。

▶︎広角レンズと組み合した場合、ケラレが生じることがあります。

寿命とは

寿命 = フィルター膜の変色限度が超えた時

フィルターメーカーのWEBサイトのPLフィルターの商品紹介ページを閲覧すると、ほぼ全ての製品に「C-PLフィルターには寿命があります」と記載があります。C-PLフィルターの寿命とは何か?

正解は、C-PLフィルターを構成するガラス部分は劣化しませんが、フィルムである偏向膜フィルターや位相差板は経年劣化で変色します。この変色によるカラーバランスの崩れがメーカーの許容範囲から逸脱した場合が「寿命」の定義になります。

良い製品を選ぶことが超重要!

C-PLフィルターは、不要な反射光を除去することにより高コントラスト&鮮やかな色調の写真を撮影できる魔法のフィルターです。その反面、デメリットが多いことも紹介しました。

商品を購入する場合、アマゾンなどで検索すると安価な中華製がたくさん販売されています。しかし、上記理由で日本メーカーの性能に追いついていないのが現状です。

品質は国産メーカーの商品が勝る状態

国産メーカーの主要商品ラインナップ

Kenko ZX C-PL
※ZX=ゼクロス
最高グレード
露出倍率最小・変色小
Zeat Quint C-PL
※Zeat Quint=ジータクイント
露出倍率最小
Zeatワイドバンド C-PL
PRO1D Lotus C-PL
PRO1D plus WIDEBAND
サーキュラPL(W)
C-PL(W) 廉価版
MARUMI EXUS サーキュラーP.L MarkII 最高グレード
変色小
EXUS サーキュラーP.L 露出倍率小
DHS SuperサーキュラーP.L.D
DHS サーキュラーP.L.D 廉価版
HAKUBA ハクバXC-PRO エクストリーム
サーキュラーPLフィルター
ハクバS
ワイドサーキュラーPLフィルター

C-PLフィルターの技術力はkenkoが優れている印象でMARUMIが次点。C-PLフィルターは、レンズの光学系に4枚のレンズ(フィルム)が追加されることになるので、メーカーの技術力や性能に差が現れやすい製品です。

とくに解像度低下は写真品質の低下に直結します。国産メーカーの製品の中でも「選りすぐりの1枚を選びたい!」というのが私の意見です。

おすすめ製品

個人の意見になりますが、C-PLフィルターは「Kenko ZX C-PLシリーズ」の一択です。フィルター径は、49mmから95mmまで11バリーションあります。

Kenko ZX C-PLシリーズを推す理由
●世界最高レベルのカラーバランス▶︎高透過偏向膜により着色が少ない!
●明るい▶︎露出倍数が最大1絞り(1〜2/3絞り)しか暗くならない
●0.3%以下の低反射▶︎フレアやゴーストの発生を低減
●薄枠設計▶︎超広角レンズ装着時のケラレ低減

サイズバリエーションがない場合「MARUMI EXUSサーキュラPL MarkII」が次点です。サイズは14バリエーションあります。ただし、この製品は2020年7月にモデルチェンジ(マーク2)されましたが、旧製品(Amazonでは旧製品を継続販売)が併売されています。購入するならMarkIIを選択しましょう!

ウラ技1

Keno ZX C-PLシリーズは、C-PLフィルターの最高級品なので気軽に購入でいる価格とは言えません。レンズごとに複数枚用意するのは金銭的に負担が大きいですからね。

そのような時、ステップアップリングがあると便利です。

C-PLフィルターは、お手持ちのレンズで最もフィルター径の大きい製品に合ったものを1点購入します。フィルター径の小さなレンズは、ステップアップリングを併用して装着できます。

デメリットは、レンズフードが装着できなくなります。レンズフードがなくても大丈夫の方にオススメです。

ウラ技2

私はKenkoの1世代前の製品「Zeta Quint C-PLフィルター」を使用しています。色味については、やや黄ばんだ方向に着色します。カラーメーターで計測すると、色温度を200K補正することで補正できると判断しています。

Zeta Quint C-PLフィルター装着時 ホワイトバランス
5600K→5400Kに変更

C-PLフィルター装着時用の色温度&カラーバランスのプリセットを用意しておくと、色被りを気にせず運用できます。

この記事を書いた人
ちゃんまさ

雑誌編集部勤務を経て、個人制作会社を設立。30年以上にわたり雑誌取材、企業の企画執筆・写真撮影・TV番組の撮影などに従事。業務で得た経験や知見をもとに、カメラ・写真レタッチ・動画編集・商品レビューなどの情報を発信します。

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