【ソニーα】流し撮り時の微ブレ問題!プラレールで原因と対策を究明

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Text/Photo:ちゃんまさ

ソニーαの手ぶれ補正で動体撮影を撮影すると「微ブレが連発する」という声をよく聞きます。私もさんざん悩まされ続けてきた一人です。そこで、各社手ぶれ補正の現状を把握しながら、ソニーαの手ぶれ補正を正しく理解・運用することにしました。というのも、手ぶれ補正はメーカーごとに差があり、マウントを乗り換えたとき「前に使っていたメーカーと同じだろう・・・」と油断しがちですよね。今回、プラレールを購入してソニーα機で流し撮りの効き具合を検証すると「微ブレの原因」がなんとなくですが判明しました。原因と対策をシェアしたいと思います。

注意:メーカー公式ではありません。個人が独自検証した結果なので、運用の是非は自己責任でお願いします。

ソニーα手ブレ補正モードの基本

  • MODE1 主に通常の手ブレを補正するモード
  • MODE2 移動する被写体を流し撮りするモード
  • MODE3 フレーミングを重視した手ぶれ補正をおこなうモード

ソニーαの手ぶれ補正は、説明書に「三脚利用時は手ぶれ補正OFF、流し撮りはMODE2を選択する」と明記されています。自動認識(自動切り替え)機能は搭載されていないようです。

参考までに、ニコンの手ぶれ補正は流し撮りを自動検出します。また、キヤノンの手ぶれ補正は三脚利用を自動認識するなど、メーカー毎にバラバラです。

そのため、ソニーαは撮影シーンに最適なモードをカメラマン自身で正しく設定しなくてはいけません。

ソニーαは「MODE1は、流し撮りなどの大きな動きには手ぶれ補正をおこないません」との記載を発見しましたが、個人の主観は「誤作動する確率が高い」ように思います。

ソニーαの手ぶれ補正は「MODE設定ミスを許してくれない!」
注意点

写真撮影と動画撮影は手ぶれ補正の動作が異なります。

  • 写真撮影時 = 露光時のみ動作
  • 動画撮影時 = REC時のライブビュー時に動作

写真撮影時の手ぶれ補正は、露光時のみ手ぶれ補正が効きます。カメラマンは、ファインダーがブラックアウトするため効き具合を確認できません。また、半押しAF時などは、ファインダー像の揺れを抑えているだけなので、撮影結果に反映されません。

手ぶれ補正モードと流し撮り時の合致率を検証

検証実験は、プラレールを被写体として手ブレ補正モード毎に流し撮りをおこないました。電子シャッターを使い、あえてローリングシャッター歪みが現れるように撮影しています。

撮影環境
カメラ α7R5(借り物)
レンズ 100400GM(135mm付近)
シャッタースピード 1/60秒
模型の速度 低速側に固定
手ブレ補正モードと流し撮りの検証結果
手ブレOFF MODE1
水平方向の流し撮り
MODE2
水平方向の流し撮り
MODE2
斜め方向の流し撮り
三脚 合致率 75% 合致率 20%(最低) 合致率 85%(最高) 合致率 80%
手持ち 合致率 55% 合致率 35% 合致率 70% 未検証
一脚 未検証 未検証 合致率 65% 未検証

テスト撮影は、模型速度を低速側に固定し、シングルショットで20枚撮影。そこから合致率を計算しました。

MODE1とMODE2で流し撮り場合、合致率に4倍以上の差が現れました! 興味深い検証結果です。

MODE1考察

手ブレOFFとMODE1適用時の合致率を数値比較 ※流し撮り限定

三脚 合致率 手ブレOFF:75% → MODE1:20% 大幅悪化
手持ち 合致率 手ブレOFF:55% → MODE1:35% 悪化
一脚 合致率 手ブレOFF:未検証 → MODE1:未検証

手ぶれ補正「MODE1」は、流し撮りとの相性が最悪の結果でした。手ブレ補正OFF時より合致率が大きく低下しているので、明らかに誤作動していると断定できます。

▲手ブレ補正の誤作動により背景が止まり電車が流れる ※電車に照準をあわせて流し撮りしています。

電車の動きに合わせてカメラ&レンズを振って撮影しました。MODE1で流し撮りすると、背景の流れを手ブレとして誤認識し、露光時に背景を止めようとする制御が実行されます。

補足を加えた写真。手ぶれ補正ユニットが、電車の進行と同じ方向に「高速かつ大きく」シフトしていることがわかります。その結果、本来流れるはずの背景に同調(下の写真と比較すると方眼ブレが少ない)し、ブレないはずの電車にブレが生じます。電車に着目すると、ローリングシャッターの影響で台形に歪んでいます。

MODE1の流し撮りで厄介なのは、1/2000秒のような高速シャッタにおいても微ブレを発生することです。ところが、上記写真(1/60秒で撮影・トリミングしているので実際のシフト量はさらに多い)でわかる通り、センサー上でこれだけ大幅にシフトすれば高速シャッターを切ったとしても微ブレするのは当然です。

※電子シャッターで撮影するとシャッターショックがなくなるので、手ぶれ補正レンズが最大限まで動作する衝撃が手に伝わってきます。

▲手ブレ補正の誤作動の影響が少ないときも解像度の甘い写真が量産

MODE1で誤作動の影響が軽微だった時のカット。方眼が流れて電車が止まっているように見えますが、列車に貼りつけたチャートを注視するとわずかに歪みが確認できます。本当のガチピンではなく、ほぼ全てのカットで微ブレが発生しています。

取説には「流し撮りなどの大きな動きには手ぶれ補正をおこないません」と記載されていますが、今回の実証テストにおいて自動OFFは確認できませんでした。

また、MODE1と三脚を併用すると合致率が20%まで急降下。三脚を自動認識して手ぶれ補正を自動OFFにするメーカーが多いですが、ソニーα(Eマウント)は自動OFFにならず誤作動が生じている可能性が高いです。

仮説 ソニーαの微ブレ現象は「MODE1の動体撮影」で発生する!
MODE1の運用方法
  • MODE1は静止した被写体をスローシャッターで撮影する時だけ利用する
  • MODE1で動体撮影はしない
  • 三脚利用時は手ぶれ補正をOFFにする

MODE2考察

手ブレOFFとMODE2適用時の合致率を数値比較 ※流し撮り限定

三脚 合致率 手ブレOFF:75% → MODE2:85% わずかに向上
手持ち 合致率 手ブレOFF:55% → MODE2:70% 明らかに向上
一脚 合致率 手ブレOFF:未検証 → MODE2:65%

手ぶれ補正「MODE2」は、流し撮りとの相性が良好でした。手ブレOFF時より合致率が向上したことも裏付けになりそうです。

物体が水平方向に移動する時の手ぶれ補正制御は、横方向の手ぶれ補正をOFFにして、縦方向のみの制御をおこないます。そのため、垂直方向の手ブレは機械が吸収してくれますが、横方向の手ブレはカメラマンの技量に頼ることになります。

▲合致率の向上とガチピン率が大幅向上

電子シャッターで撮影しましたが、カメラと電車が同調しているので車体にローリングシャッター歪みは確認できません。チャート部分に注目しても歪みやブレはありませんよね。

合致率が一番高かったのは三脚利用時。一脚使用は、手持ち撮影と類似した合致率でした。

▲斜め方向の流し撮りでも合致率に大きな変化なし

斜め方向の流し撮りも試してみました。水平方向に移動する場合と比較しても合致率に大きな変化はありません。キヤノンやフジフィルムは、斜め方向の流し撮りに非対応のようなので、ソニーαのメリットといえそうです。

横方向の手ブレ補正がOFFになるので、技術力が合致率に反映されます。
MODE2の運用方法
  • MODE2は流し撮りモード以外にスポーツ撮影全般にも有効
  • MODE2で合致率を高めたいなら三脚併用が効果的

ソニーα手ブレ補正まとめ

キヤノンやニコンの手ぶれ補正は、三脚利用を感知し、OFFまたは三脚用制御に自動的に切り替わります。しかし、ソニーα(Eマウント)のMODE1は、三脚を自動感知する機能が搭載されていないようです。そのため、手ぶれ補正を有効活用するには、カメラマン自身で適切なモードに設定する必要があります。

ソニー手ブレ補正「MODE1」は「静止物撮影専用モード」と認識すること。

MODE1は、夜景をスローシャッターで撮影するようなシーンで有効です。

反面、子供の撮影やスポーツ撮影、レースや電車のような動きものを撮影する場合に「背景を静止させようとする制御」が働くため、結果的に被写体がブレる傾向です。万が一合致しても、微ブレが発生しやすく、本当のガチピンは望めません。少しでも被写体に動きがあるならMODE2を活用すべきだと思いました。

被写体が少しでも動いているならMODE2選択でガチピン率がアップ!
問題点

MODE2やMODE3は望遠レンズのみに搭載される傾向にあり、標準ズームや広角レンズは「MODE設定のないレンズ」が一般的です。そのようなレンズで流し撮りする場合、自動OFF機能が誤作動しやすい現状においては、手ぶれ補正をOFFにするのが良さそうです。

MODE設定のないレンズは、流し撮りや動き物撮影に非対応の予感
運用方法

流し撮り・動きもの撮影時の設定案

手ブレ補正無しのレンズ(ボディ内補正のみ) 手ぶれ補正OFF
※誤作動の可能性を回避するため
MODE設定のないレンズ(協調制御) 手ぶれ補正OFF
※誤作動の可能性を回避するため
MODE1/2搭載レンズ(協調制御) MODE2
MODE1/2/3搭載レンズ(協調制御) MODE2またはMODE3
MODE2/3の設定がないレンズは、流し撮りする時に手ぶれ補正OFFにするのが無難

備考

α7R5と100400GMの組み合わせで手ぶれ補正のテストをすると、バッテリー駆動時間は2時間以下まで低下しました。α7R5のバッテリーの持ちの悪さは実感していましたが、驚くべき短時間で驚きが隠せません。

手ぶれ補正MODE2を常用するレース撮影時などは、1日撮影するには「バッテリー3本以上必要」になるかもしれません。予備バッテリーの用意やモバイルバッテリーとUSB充電器を使った追い充電を検討したいところです。

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