2020年春は、コロナ渦中のど真ん中。
老舗の写真月刊誌が立て続けに2誌休刊になりました。
僕もカメラ系ブログを設立しましたが、あまりに少ないアクセスに萎えています。写真業界はどうなるのでしょうか?
月刊誌は紙代&印刷代が莫大にかかる
僕は長年、自動車雑誌の編集&制作に携わってきました。
月刊誌の利益計算は難しく、販売価格と発行部数の割合がキモになります。
紙代のコストが相当すごいんですよね。
例えば500円で販売している雑誌の場合、「紙台・印刷費・編集制作費などを含めた単価」は、1冊あたり1000円近くになります。
本来1000円のコストがかかる本や雑誌が500円で販売できるカラクリはなに?
その正体は「広告費」です。
裏表紙や最初の見開き広告は、全国紙の場合、100万円以上が相場です。
それ以外の場所でも、カラー1ページで50万円ぐらいするんですよね。高いですよね。
休刊理由は広告出稿の減少が影響大!
月刊誌が安く販売できる理由は「広告費」で紙代や印刷代を補填しているから。
そのため、利益構造が歪になります。
皆さんは本がたくさん売れた方が出版社の利益が増加すると思われるでしょ?
実際は売れば売る(刷れば刷る)ほど「赤字」になります。
雑誌に広告費は欠かせない存在なのです。
しかし、不況とネットの普及にともない紙媒体の広告費は右肩さがり・・・。
売れなかった本は返品される
本は「売り切り」ではなく、売れ残った雑誌は出版社に返本されます。
印刷済みの本は産業廃棄物に成り下がり、処分するにも費用がかかります。
カメラ系月刊誌の広告出稿状況は?
カメラ雑誌の広告をチェックすると、主要カメラメーカーは「おつきあい」で出稿されています。
しかし、場所が悪い。
メーカーもコストを抑えるため、価格が高い領域への出稿を抑えているようです。
メーカーはまだ体力がありますが、20年前と比べて「販売店」の雑誌が壊滅的に減少しましたね。
ネット時代の販売店広告は、価格変更や商品の追加が自由にできます。
しかし、雑誌広告は、締め切りの都合で入稿が1ヶ月前。制作を含めると2ヶ月前に価格を設定しなくてはいけません。無理ですよね。
また、メーカーが安売り防止の圧力をかけます。雑誌広告は神出鬼没で価格変更できないのでメーカーの販売部門にマークされやすくなります。だったらネット広告の方が都合がよくなりますよね。
販売数の減少、高価な広告代、変更ができない・・・
これらの要因が、雑誌広告から販売店の広告が減った理由だと思います。
「カメラ=一眼レフ」に執着しすぎた?
カメラ雑誌は、カメラやレンズのレビュー記事が花形記事です。
フィルムからデジタルに移行する際、デジタルカメラはコンデジにすぎないオモチャのような性能でした。
このようなデジタルカメラを、写真雑誌は小馬鹿にして本格的に扱いませんでした。フィルム用一眼レフが売れていたからです。
キャパは、本誌とデジタルキャパと別媒体で扱いました。その後、新進気鋭のデジタルカメラマガジンが参入。現在は写真雑誌として普及しています。
デジタルキャパを作った学研とデジタル時代になってからの新規参入組が生き残った状態です。
扱う対象を広げられるか?
ミラーレスで動画撮影できるのに本格的に扱わない。
毎月スマホの新製品が発売されるのに本格的に扱わない。
Goproやドローンなどのカメラも格下扱いです。
結果的に、スマホ雑誌になっても仕方ないと個人的には思います。
レンズ交換式カメラ至上主義が業界をダメにしているのかもしれません。
次に消えるカメラ雑誌は?
月間カメラマンが休刊を発表。続いてアサヒカメラが休刊になりました。
今の時代「休刊=廃刊」ですよね。
次に来る媒体は・・・。
超個人的な見解ですが、某●●●系月刊誌が怪しいと思っています。
メーカー広告出稿が「ゼロ」なんですよね。目に入るのは自社広告ばかり。
販売価格も数年前よりも2倍ぐらいに高くなりましたが、メーカー広告zeroは辛い。
カメラ市場は高級オーディオの後追いか?
その昔、家庭用オーディオ機器が一世を風靡した時代がありました。
しかし、iPodなどのデジタルオーディオの普及にともないシェアが縮小。
日本のオーディオ業界は「高品質=高価格化」にシフトしましたが、数々の有名ブランドが消滅。ご存知のとおり焼け野原になりました。
今のカメラ業界は、ミラーレス一眼(交換レンズ)が軒並み値上げされています。
高性能であることは事実ですが、
賃金が上昇しない今日、高価格化から脱落するユーザーが増加するのは必至です。
オーディオ業界の二の舞にならないことを祈ります。
雑誌が生き延びる道は?
雑誌の生き延びる道は?
電子書籍はテキストと動画が混在する夢の雑誌と言われていましたが、現在の雑誌書籍はPDF化しただけにすぎないないものが多いようですね。
雑誌のデジタル化で儲かる事業は・・・。ヤフーなどのサイトにコンテンツをWeb配信する事業です。
記事を地方新聞社に販売する共同通信のような存在ですね。
「1ヶ月に●●本の記事を配信する」という契約で、毎月数百万円もの収入が入ります。
ところが・・・、カメラ記事はガジェツト系雑誌や家電系雑誌に横取りされた状態!
万事休すか。
まとめ
カメラ情報は、情弱じゃない限り、ネットで入手できます。価格も無料です。
ジャンルを問わず月刊誌の休刊や廃刊は、今後ますます増加するのではないでしょうか。
最後までお読みいただきありがとうございます
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